今はだいぶ認知されるようになってきましたが、未だに「自閉症」と「引きこもり」を一緒くたに考えてしまう人が後を絶ちません。


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そもそもこの二つは何の因果関係もありません。

ただ、自閉症という文字のイメージから引きこもりを連想させてしまうのか、どうしても自閉症=引きこもり(怠け者)というイメージが抱かれやすく、自閉症スペクトラムの理解度はまだまだといったところなので、その違いについて説明したいと思います。


自閉症は先天性の障害


自閉症は病気でも何でもなく、生まれながらにか抱えてしまった先天性の障害です。人間が成長していく過程で患う病気ではありませんし、ましてや個人の性格や症状でもありません。

にもかかわらず、少し前までは「何で自閉症になってしまったんだ」と、引きこもりの人を指す言葉として使われていましたが、それは大きな間違いであることを理解するべきであり、そして自閉症という障害をきちんと認知する必要が社会に求められます。



今は自閉症とは呼ばない


さて、改めて自閉症についてお話ししましょう。

まず、現在では自閉症という言葉は使われず、脳機能の障害によって社会性やコミュニケーション能力が欠如している人のことを総じて自閉症スペクトラム(ASD)と呼ばれるようになりました。

また、この自閉症スペクトラムは広汎性発達障害やアスペルガー症候群等の総称として使われていまして、特定の障害のことを指し示したりはせず、かなりアバウトに使われています。

というのも、例えば私の妻のようにアスペルガー症候群と診断されても少々のADHDが入っていたりと、実際は複数の
の脳機能の障害を抱えているケースも見られ、かつこれらの障害は連続体となっていることからそうアバウトに捉えられるようになった経緯があるからです。

ちなみに私の妻の障害を厳密に言うと、「アスペルガー症候群の特徴が強く出ている自閉症スペクトラム」になります。ちょっとややこしいですね(笑)


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なんだかとても曖昧な感じはしますが、この障害についてはまだ解明されていない部分が非常に多いので、「とりあえず」的にこの障害を捉えていく必要性があったからなんでしょうね。

いずれにしても、現在では自閉症と呼ばれるケースは無く、過去に自閉症と診断された人も自閉症スペクトラムと呼ばれていることだけは知っておいてください。



引きこもりは障害ではない


引きこもりは障害の有無に関係無くして起こりうる精神疾患の一つであり、厚生労働省ではこの引きこもりのことを以下のように定義しています。


「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」 時々は買い物などで外出することもあるという場合も「ひきこもり」に含める

引用元:http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/pdf/hikikomori/s1-2.pdf


また、国立精神・神経センターでは


・「ひきこもり」は、単一の疾患や障害の概念ではない
・「ひきこもり」の実態は多彩である
・生物学的要因が強く関与している場合もある
・明確な疾患や障害の存在が考えられない場合もある
・「ひきこもり」の長期化はひとつの特徴である
・長期化は、以下のようないくつかの側面から理解することができる
 ・生物学的側面
 ・心理的側面
 ・社会的側面
・「ひきこもり」は精神保健福祉の対象である

引用元:http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/07/tp0728-1.html


と引きこもりについて説明してあり、「明確な疾患や障害の存在が考えられない場合もある」と明確に障害とは関係ないとの見解を示しています。

これで自閉症=引きこもりでないことが多少でも理解できたのではないでしょうか。



障害に対する理解度は民度の高さに比例する


それではなぜ、未だに自閉症と引きこもりの違いを理解できない人がいるのか、ここは私の独断と偏見でお話ししたいと思います(笑)


理由その1 単にバカが多い

おそらく、いや、一番の理由はこれに尽きるでしょう。何も勉強もせず、まるで脊髄反射するかのように「自閉症は甘え」としか考えられない単細胞な人間が多いから理解できないんだと思います。


理由その2 福祉後進国であるが故の弊害

一見先進国であるかのように見える日本も、福祉に関しては実はまだまだ後進国です。こればかりは政策で解決していくほかないのですが、肝心の日本の政治家とはいうと、常に自分の懐具合をそろばん勘定しかしませんからねぇ……。


理由その3 日本特有の文化的背景がそうさせる

島国である日本は「臭いものには蓋をしろ」「出る杭は打たれる」という文化が古来から根付いていますので、新しいものや特異なものに対してはやたらと拒絶反応を起こします。こと自分達の文化的価値観と異なる事例が出てくるとそれはより顕著に表れ、時には倫理的に正しい事例でさえも「NO」と決めつけてしまうので、いつまでたっても先進的な考えが受け入れられず、結果として間違った認識がいつまでも根強く残ってしまうんでしょう。


まだまだ他にもたくさんの原因はあるかと思いますが、突き詰めていくと結局は「人間の民度」に辿り着いてしまうので、こればかりはあれこれ言っても仕方ないのかもしれません。



まとめ


「自閉症は先天的な障害」「引きこもりは精神疾患の一種」と、この二つの言葉はまるで似て異なる意味を持っているのですから、当然、それぞれをきちんと分けて考える必要があります。


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自閉症スペクトラムであるために、結果として引きこもりになってしまうパターンはあっても、その逆のパターン、引きこもりから自閉症スペクラムになることは絶対にありません。

また、「引きこもりだった人を診察したら実は発達障害だった」というパターンもまた誤解されやすい一因となっていますが、「自閉症」と「引きこもり」は全くの別物と線引きをして考えてあげることが、この障害に対する理解を深める第一歩になりますので、これを機にそれぞれの違いを再認識していただければ幸いです。



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